takanori_takkenの日記

2020年宅建士合格を目指して勉強していくブログです。宅建士の勉強をする中で分かったことなどを主に書いていきます。

契約が守られないとき

同時履行の抗弁権

「例えば、AさんがBさんに家を売る」という売買契約などのように、双方が義務を負う双務契約においては、双方の義務は同時に果たさなければいけないという関係にあります。それが公平だからです。これを「同時履行」の関係といいます。その結果、たとえばAさんが、自分は家の引っ越しや登記の移転をしないでおいて「代金を支払え」とBさんに迫ってきたとき、Bさんは代金の支払いを拒むことができます。このように主張できる権利を、同時履行の抗弁権といいます。なお、Aさんが義務を果たさない場合の、それに代わる損害賠償の義務についても主張することができます。これらの関係は、例えば、第三者の詐欺を理由に売買契約が取り消された場合の契約当事者双方の返還義務についても、認められています。

債務の不履行

先ほどのケースで、AさんやBさんが、それぞれの負っている義務を果たさないことを、債務不履行といいます。債務とは「義務」のことで、理工とは、その義務を果たすことです。したがって、債務不履行とは、契約などから生じた義務を果たさないことです。もし、Aさんが債務不履行に陥れば、その効果としてBさんからは原則として、損害賠償請求がされますし、また契約が解除されることもあります。なお、債務不履行による解除をするためには、帰省事由は不要です。

債務不履行の種類

債務不履行には3つの種類があります。一つ目は、履行遅滞です。これは、例えば、いつまでに引き渡すと契約したにもかかわらず、その引き渡しが遅れてしまうことを履行遅滞といいます。二つ目は、履行不能です。履行期に履行が不可能であるということをいいます。不能(不可能)かどうかは、契約などの債務の発生原因や取引上の社会通念に照らして判断します。履行遅滞の場合と同様に債権者は、原則として損害賠償を請求できます。また、契約を解除することもできますが、履行不能の場合は相当な期間を定めた催告は不要で、直ちに解除することができます。三つ目は、不完全履行です。これは履行はしたものの、それが不完全ということです。

損害賠償の範囲と予定等

債務不履行に対する損害賠償請求の目的は、それによって通常生ずべき損害の賠償をさせることです。相当性の判断にあたっては、通常の事情のほか、債務社が債務不履行の時に予見すべきであった特別の事情を基礎とします。債務不履行などに関して債権者に過失があったときは、契約の当事者からの主張がなくとも、裁判所は、職権でこれを考慮して、損害賠償の責任、及びその額を定めることができます。しかし、損害賠償を請求する時に、損害額の算定をめぐってトラブルになることがあるので、それに備えて損害賠償額の予定をしておくことができます。これによって、債権者は損害の発生とその額を証明しなくても予定した賠償額を請求できます。なお、違約金は損害賠償額の予定と推定されます。

金銭債務の特則

金銭債務の特則とは、例えば、買主の代金支払い義務など、お金を支払う義務のことです。金銭債務は、家の引き渡しなどの普通の義務とは異なり、特殊な扱いがされています。まず、効果の特則です。損害賠償として請求できる額は利息相当分とされています。支払いが遅れた場合、当然に利息分の損害が生じていると考えられます。損害賠償請求できる金額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によりますが、契約当事者が約定でこれより高い利率を決めているときは、それによります。次に、要件の特則です。損害の証明は不要です。また、金銭を支払う義務は、履行地帯しか認められません。さらに、債務者は、不可抗力を持って抗弁とすることができないとされています。つまり、過失がなくてもりこう遅滞の責任を負わなければならないのです。

契約の解除

契約の解除には、法定解除、約定解除、合意解除の3つのパターンがあります。法定解除とは、例えば「債務不履行があったときは解除できる」など、一定の要件を満たせば解除することができると、法律によって決められている場合のこと。約定解除とは、例えば、手付や買戻し、「ローン不成立の時は契約を解除できる」旨の特約など、当事者が契約(特約)によって解除権を設定する場合のこと。合意解除とは、例えば、AさんとBさんが結んだ契約を、双方合意の下、破棄する場合のことである。

解除の方法

・解除の意思表示

解除権を有するものは、相手方の承諾がなくても、解除することができます。また、一度解除の意思表示をしたら、撤回することはできません。さらに、当事者の一方が複数いる時には、解除は全員から、または、全員に対して行わなければいけません。これを、解除不可分の原則といいます。また、同じ考え方から、複数いる当事者の1人について解除券が消滅した場合は、他のものの解除権も消滅するとされています。

・催告解除と無催告解除

債務不履行の場合、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がない時は、相手方は、原則として契約の解除をすることができます。ただし、債務の全部の履行が不能なときや債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示した時、契約の性質または当事者の意思表示により、特定の日時または一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合に債務者が履行をしないでその時期を経過したときなどの場合は、債権者は催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができます。

解除の効果

・当事者間での効果

例えば、AさんとBさんが家の売買契約を結んだが、Bさんが代金を支払わなかったので、Aさんは契約を解除しました。この場合2人の間では、最初から契約がなかったことになります。そこで、もしBさんが代金の一部を支払っていた場合、AさんはBさんから受け取っていたお金を返さなくてはいけません。これを原状回復と言います。つまり、契約を解除すると原状回復義務が発生し、これは同時履行の関係に立ちます。また、契約が解除されたとき、金銭を受け取っていたAさんは、受領の時からの利息をつけて返還しなければいけません。同様に、買った家の引き渡しを受けていたBさんは、その家だけでなく、その引き渡しを受けた時以後に生じた果実(家を他人に貸して受け取った賃料など)や使用利益も返還しなければなりません。なお、解除しても損害が発生していれば、損害賠償も請求できます。

・第三者に対する効果

例えば、BさんがAさんから買った土地をCさんに転売し、Cさんは引き渡しを受け、登記も済ませてた。その後AさんがBさんの代金不払いを理由に契約の解除をした時Cさんに対して返還の請求はできるのでしょうか?民法では、解除によって、解除前の第三者であるCさんの権利を害することはできないとされています。ただし、Cさんの権利が保護されるための要件として、Cさんは登記などの対抗要件を備えていなければなりません。また、Cさんが保護されるために、Cさんの善意・悪意は無関係です。(Bさんの債務不履行があってもAさんが必ず契約を解除するとは限らないから。)

・解除権の消滅

解除権を行使できる期間については、その定めがなく、解除権を有する側が解除しない時は、その相手方はから相当の期間を定めて「解除するか否か」を催告することができます。そして、その期間内に解除の通知を受けない時、解除権は消滅します。

手付

手付とは、売買契約等を結んだ時に、相手方に払うお金などのことです。

・手付の性質

手付には、交付する目的によって、証約手付、解約手付、違約手付の3つの種類があります。証約手付とは、契約が成立した証として払われる手付のことを言います。解約手付とは、その手付の交付によって、契約を解除できるようにするもののこと。つまり、約定解除権の設定を意味するものです。違約手付とは、「約束違反の場合には没収される」という了解のもとで交付される手付のことです。なお、当事者が「この手付はどういう意味か」ということを決めない時には、解約手付と推定されます。

解約手付による解除

・手付解除の方法

手付解除は、売主が解除する場合は倍返し、買主が解除する場合は手付を放棄することによって行われます。

・手付解除の時期

相手方が履行に着手するまでであれば、解除を行おうことができます。履行の着手とは契約から生じた義務を行うことです。自分が着手していたとしても相手方が着手していない限りは手付解除を行うことができます。

・手付解除の効果

手付によって解除しても損害賠償は請求できません。逆に損害賠償の請求もされません。また、債務不履行による損害賠償請求額は、解約手付の額とは基本的に無関係ですから、解約手付の額に制限されません。