takanori_takkenの日記

2020年宅建士合格を目指して勉強していくブログです。宅建士の勉強をする中で分かったことなどを主に書いていきます。

登記の仕組み

不動産登記法とは

不動産の対抗要件である登記について定めている法律のこと。現在の不動産登記法では、コンピュータ管理システムによる登記簿が導入され、オンラインによる登記申請が可能になっています。

登記の仕組み

・一不動産一登記記録の原則

登記は、登記官が「登記簿」という帳簿に登記事項を記録することによって行います。これを登記記録と言い、表示に関する登記や権利に関する登記について、一筆の土地または一個の建物ごとに作成されます。

・登記機関

不動産の所在地を管轄する法務局・地方法務局・支局・出張所が、管轄登記書として定められています。ある不動産が、複数の登記所の管轄区域にまたがる場合は、法務大臣または法務局長等が、管轄登記所を指定します。複数の登記所において登記をする必要はありません。

・登記記録の構成

登記記録は表題部と権利部という2つの部分で構成されます。表題部には、その物件、つまり土地や建物の物理的な概況が記録されています。何についての登記記録なのかを明らかにするもので、この表題部に行う登記のことを表示に関する登記といいます。なお、表示に関する登記のうち、その不動産について表題部に最初にされる登記を表題登記といいます。権利部は、甲区及び乙区に区分されます 。そして、甲区には所有権に関する事項を、乙区には抵当権や賃借権等の所有権以外の権利に関する事項を記録します。この甲区や乙区に記録された登記のことを、権利に関する登記といいます。表示に関する登記は、原則として対抗力が認められていませんが、権利に関する登記は、対抗力が認められています。

・順位番号と受付番号

権利部の登記には順位番号と受付番号という2つの番号があります。登記記録の甲区には、所有権に関する事柄が記録され、その記録がなされた順番に番号が振られます。これが、順位番号です。もう1つの受付番号ですが、これは甲区・乙区を問わず、その登記所で登記の申請を受け付けた順番に振られるものです。次に、登記記録の乙区にも、同様に順位番号・受付番号が記録されます。登記した権利の優劣は、原則として登記の前後によります。例えば、抵当権や地上権など、乙区内同士での権利関係の優先順位は順位番号を見れば分かります。順位番号は、それぞれの区ごとに記録が行われた順番で振られているので、その番号を見比べると分かります。このように、同区間の権利の優先関係は、順位番号の前後で決まります。一方、甲区に記録されている所有権と、乙区に記録されている抵当権の優劣などのように別区間での権利の優先順位を見るときは、その登記所での受付の順番を示している受付番号を見比べると分かります。

登記の公開

登記記録は、誰でも(利害関係人に限らない)、登記官に対して手数料を納付して、登記記録に記録されている事項の全部または一部を証明した書面(「登記記録事項証明書」といい全部の事項を証明するものや現在の効力を有する事項のみを証明するもの等があり『書面』で作成されます)の交付を請求することができます。また交付の一方法として、送付を請求することもできます。この交付請求は、オンラインによる請求も可能です。誰でも登記官に対して手数料を納付して、登記記録に記録されている事項の概要を記載した書面(「登記事項要約書」)の交付を請求することもできます。手数料は原則として収入印紙で納付しますが、一定の場合は現金で納付することもできます。

登記手続の原則と例外

・申請主義の原則

不動産の登記については、「登記をしたいならば申請をしなさい」という、申請主義の原則が採られています。従って、この原則から所有権移転登記等の権利に関する登記は、当事者の申請、または官公庁の嘱託によって行われます。また、申請する義務はないということです。そして、これの反対としては、登記官という役人が職務として行う職権主義という者があります。他にも、登記を申請する義務がある場合もあります。これらが申請主義の例外であり、表示に関する登記がこの例外に該当します。なので、表示に関する登記は、登記官が職権で行うことができますし、申請義務もあります。土地が新たに生じた場合や、建物の新築や滅失の場合などには、所有権を取得した者等は、1ヶ月以内に、表示に関する登記の申請をしなければなりません。

・共同申請の原則

例えば、AさんからBさんが家を買いました。Bさんが登記をすれば、Aさんはもはや登記上では所有者ではありません。このように、登記をすることによって登記上不利益を受けるAさんのことを、登記義務者といいます。その一方でBさんは、自己名義に登記することによって、登記上自分のものと表示されるという利益を受けます。このBさんのことを、登記権利者といいます。そして、登記の申請をするときは、登記義務者のAさんと、登記権利者のBさんが、共同で申請をしなければならないという原則が、共同申請の原則です。これは嘘の登記が行われるのを防ぐための原則ですから、判決による登記などの嘘の登記が行われるおそれがないときや相続による権利の移転登記などのそもそも共同で申請することができない場合は単独で申請することができます。

申請情報及び添付情報等の提供

登記の申請にあたっては、不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名または名称、登記の目的などの情報(申請情報)と、その他の申請情報と併せて提供することが必要な情報(添付情報)を登記所に提供して行います。これから添付情報について見ていきます。

・登記原因証明情報

権利に関する登記を申請する場合には、申請人は原則として、その申請情報と併せて、登記原因証明情報(売買契約書などの登記の原因を証明するための情報のこと)を提供しなければなりません。権利の変動に関する登記原因について嘘の登記がされないようにするためです。なお、それが不要となる場合には、所有権保存登記などがあります。

・登記識別情報

1、登記識別情報の提供

登記権利者及び登記義務者が権利に関する登記の申請を共同して行う場合などには、申請人は原則として、その申請情報と併せて、登記義務者などの登記識別情報を提供しなければなりません。登記識別情報とは、簡単に言えば、登記名義人などしか知り得ない暗証番号のようなものです。ただし、申請人が登記識別情報を提供することができないことに正当な理由がある場合は、提供不要です。

2、登記官による事前通知制度等

登記官は、申請人が正当な理由があって登記識別情報の提供ができないときは、登記をする前に登記義務者に対し、「登記申請があった旨」と「申請の内容が真実であると考えるときは一定の期間内にその旨を申出をすべき旨」を通知しなければなりません(登記官による事前通知)。通知に対して「登記申請に問題がありません」と応える登記義務者の応答があれば、本人確認ができるからです。その他、司法書士などの資格者代理人を通じて本人確認をする等の制度も設けられています。

・その他の添付情報

代理人によって登記を申請するときは代理人の権限を証する情報、また、登記原因について第三者の許可・同意・承諾を要するときは許可等をしたことを証する情報の提供等が必要です。

登記の受付と完了

・登記の受付

登記官は、申請情報が登記所に提供された場合は、登記の申請を受理しなければなりません。

・登記の完了

登記が完了するとその旨を通知するために、登記完了証が交付されます。重ねて、申請人自らが登記名義人となる場合で、その登記が完了したときは、登記官はその申請人に対して、その登記に係る登記識別情報を通知します。ただし、申請人があらかじめ登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をした場合などは通知されません(「登記識別情報不通知制度」)。

登記の内容による分類

1、まずは、所有権保存登記があります。甲区に行う最初の登記のことです。原則として、表題部所有者またはその相続人その他の一般承継人・所有権を有することが確定判決によって確認されたもの、収用によって所有権を取得した者が申請することができます。なお、マンションについては特例があります。

2、次に、移転登記があります。例えば、AさんからBさんが土地を買って、Bさんが所有権を取得した場合に行うのが、所有権の移転登記です。

3、変更登記とは、登記をした後、登記された内容と実態との間に不一致が生じた場合に、これを変更する登記です。

4、更生登記とは、登記されたとき、すでにその登記内容に錯誤や遺漏があった場合にこれを訂正する登記です。

5、抹消登記とは、登記の記載を抹消する登記です。なお、抹消を申請する場合、その抹消について登記上利害関係を有する第三者がいるときは、その者の承諾がなければ申請できません。

登記の形式による分類

登記の形式による分類としては、主登記と付記登記があります。主登記とは、独立した順位番号を有する登記のことです。付記登記とは、独立した順位番号がない登記で、主登記との同一性や順番を維持するために主登記に付記しておこなわれます。なお、付記登記には、登記名義人の名前や住所が変わった場合の登記名義人氏名等の変更の投機や、買戻し特約の登記などがあります。

仮登記

仮登記は、所有権取得の順位を確保するために行われます。仮登記のままでは、原則として対抗力を持たないため、後に本登記に改める必要がありますが、仮登記を本登記に改めたときの本登記は、仮登記をした日付の順位を維持することができます。例えば、AさんとBさんの間に売買の予約が9月1日に行われ、その日にBさんが仮登記を行い、10月1日に予約完結券を行使し本登記を行いました。一方で、第三者であるCさんが9月15日に売買契約を結び登記を行いました。この場合、Bさんは9月1日に仮登記を行っているため、本登記の日付も、9月1日となり、Bさんの方がCさんよりも優先されます。このようにBさんへの所有権の移転という物件変動がまだ生じていない段階で行うことができる仮登記を「2号仮登記」といいます。それに対して、登記識別情報を提供できないなど、物件変動は生じているけれども手続き上の条件が欠けている際に行う仮登記を「1号仮登記」といいます。仮登記の申請も、原則として共同申請です。例外的に、仮登記義務者の承諾がある場合や、仮登記を命ずる処分がある場合は単独で申請できます。なお、所有権に関する仮登記を本当きにする場合に、登記上利害関係を有する第三者がいるときは、その承諾が必要です。

土地の分筆・合筆の登記及び建物の分割・合併の登記

・土地の分筆の登記

分筆の登記とは、登記記録上、一筆の土地を分割して数筆の土地にすることです。この登記は申請主義の原則が取られており、申請できるのは表題部所有者または所有権の登記名義人に限られます(合筆、建物の分割・合併も同様)。しかし、一筆の土地の一部が地目を異にすることとなった場合、または地番区域を異にすることとなった場合は、申請がなくても、登記官は職権で分筆の登記をしなければなりません。また、登記官は申請がない場合であっても、地図を作成するために必要があると認めるときは、表題部所有者または所有権の登記名義人による異議がないときに限り、職権で、分筆の登記をすることができます。

・土地の合筆の登記

合筆の登記とは、登記記録上、数筆の土地を合併して一筆の土地にすることです。ここでは、合筆の登記が「できない」場合が重要です。

1、一筆の土地に、所有者が混在すると混乱が生じるので、所有者が異なる土地の合筆はできません。つまり、表題部所有者または所有権の登記名義人がそう後に異なる土地の合筆の登記はできません。

2、所有権の登記のない土地と所有権の登記のある土地の合筆はできません。

3、複数の土地の所有者が同一でも、それぞれに所有権以外のことなる権利に関する登記がある場合は、合筆の登記はできません。ただし、承役地についてする地役権の登記がある場合、合筆する両方の土地に登記原因・登記の日付・目的・受付番号が同一である抵当権・質権・先取特権の登記が設定されている場合、信託の登記であって信託の登記特有の登記事項が同一の場合は例外として、合筆の登記が可能です。

4、互いに接続していない土地同士の合筆や接続していても地番区域の異なる土地の合筆、地目の異なる土地の合筆はできません。

所有権の登記がある土地の合筆登記の申請の場合は、合筆前のいずれか一筆の土地の、所有権の登記名義人の登記識別情報のみの添付で足ります。

建物の分割・合併の登記

・建物の分割の登記

建物の分割の登記とは、例えば、A建物とその付属建物(物置など)が1つの登記記録の中で扱われている場合に、A建物についての登記記録と、物置を独立したB建物として扱い、そのB建物についてする登記記録の2つに分けることです。この建物の分割登記は、土地の分筆の登記と違って、登記官の職権では行われず、表題部所有者などの申請のみで行われます。

・建物の合併の登記

建物の合併の登記とは、例えば、独立したA建物とC建物がある場合に、C建物をA建物の付属建物として、「A建物」という1つの登記記録で扱うことです。土地の合筆の登記と同様に、例えば、所有者が異なる建物の場合、所有権の登記のない建物とある建物の場合などは、合併できません。なお、所有権の登記がある建物の合併登記の申請にあたって提供する登記識別情報は、いずれか一方の建物のものでOKということも、土地の合併の登記の場合と同様です。