takanori_takkenの日記

2020年宅建士合格を目指して勉強していくブログです。宅建士の勉強をする中で分かったことなどを主に書いていきます。

いろいろな法律関係

相続

・法定相続人

法律によって決められた相続人のこと。例えばAさんが亡くなった時にAさんに妻のBさんがいれば、妻は常に相続人になります。妻や夫の事を配偶者といいます。そして、配偶者以外で相続人になる、血族相続人という人たちがいます。Aさんと血のつながりがある人たちのことです。 その中では優先順位があります。第一の優先順位があるのが、子供です。これには非嫡出子や養子、胎児も含まれます。なお、後出の代襲相続によって、孫が相続する場合もあります。第二順位が直系尊属です。例えば、Aさんの父や母のことです。そして第3順位がAさんの兄弟姉妹です。Aさんが亡くなる前に子のCさんがなくなっていてCさんに子供Dさんがいた場合、Cさんが相続するはずのものをDさんが相続することになります。これを代襲相続といいます。また、Dさんの子供Eさんが再代襲をすることもあります

法定相続分

法律が決めている相続人の取り分のこと

1、第一順位の子と配偶者が相続人の場合

配偶者には2分の1の取り分があり、子供たちは、その2分の1を全員で平等に分けることになります。もし子供が2人だったら4分の1ずつです。なお、非嫡出子の相続分も嫡出子と同じです。

2、第二順位の直系尊属と配偶者が相続人の場合

この場合は、配偶者の取り分が3分の2、その残りの3分の1をAさんの父や母が相続します。

3、第三順位の兄弟姉妹と配偶者が相続人の場合

この場合は、配偶者が4分の3を取って、残りの4分の1を兄弟姉妹が相続します。また、父母の一方の身を同じくする兄弟姉妹(異母・異父兄弟)の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1です。

欠格と廃除

・相続人の欠格事由

例えば、被相続人となる自分の父親を殺害し刑に処せられた子、詐欺や強迫によって父親の遺言を妨げた子、さらに、父親の遺言を偽造した子など、一定の自由に該当する法定相続人は、欠格事由にあたり、父親の相続人となる事ができません。

・廃除

例えば、Aさんの生前、息子がAさんに対して虐待などひどい仕打ちをしていた場合、Aさんは「息子を相続人から外してください」と家庭裁判所に請求できます。そうすると、この息子は相続できなくなります。これが、廃除です。

相続の承認と放棄

・単純承認、限定承認、放棄

相続の承認には、そのまま全部相続するという単純証人と、借金もあるけど現金もありそうだという場合に、「プラスの財産の限度内で借金を返します」と言って相続する限定承認の2つがあります。そして、借金を背追い込みたくない場合などに相続を放棄して一切相続をしないこともできます。

・方法

承認や放棄は、自分について相続開始のあった事を知った時から、3ヶ月以内にしなければなりません。従って、相続開始前に、相続の放棄をすることはできません。そして、家庭裁判所に限定承認、または放棄の申述をせずに3ヶ月が過ぎてしまった場合は、単純承認したとみなされます。これを法定単純承認といいます。なお、相続人が自分について相続が開始した事を知った、または、これを確実に予想しながらあえて相続財産の全部または一部を処分した時も単純承認したとみなされます。限定承認は、法律関係がややこしくなるので、相続人が何人かいる時には、全員でしなければなりません。相続放棄をした場合には、その者の子供が代襲相続をすることはありません。

遺言

遺言とは、亡くなる方の最終的な意思をできるだけ尊重し、死後に実現するための制度です。遺言で実現できる事柄は、相続分、遺産分割方法の指定やその委託、遺贈など民法で定められています。

未成年者は満15歳になれば、1人で遺言ができます。また成年被後見人も、判断能力が一時回復した時、医師2名以上の立ち合いのもとに遺言をする事ができます。その一方で、被保佐人・被補助人は単独で遺言をする事ができます。

遺言は、意思を尊重する制度ですから、いつでも遺言の方式に従って、全部または一部を撤回できます。また、前の遺言と後の遺言が抵触する場合や、遺言の内容と矛盾する行為を遺言の後にした場合は、その抵触する限度で、前の遺言を撤回したことになります。

民法は遺言の方式を厳格に定めています。遺言の普通の方式として、まず、遺言者が全文、日付及び氏名を自書し、押印する自筆証書遺言があります。ただし、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産目録を添付する場合、その目録は自書不要とされています。つまり、「パソコンで制作する事が可能」という事です。その場合、その目録の各ページに署名押印が必要です。また、押印については、遺言者が、遺言書本文を入れた封筒の封じ目に押印した場合でも、押印の要件に足りるとされています。そして、他にはより厳格な、公正証書遺言、秘密証書遺言の2種類があります。

遺留分

最低限確保される一定の割合のいさんのことを遺留分といいます。遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人の場合は相続財産の3分の1、その他の場合は2分の1です。なお、兄弟姉妹には遺留分はありません。ところで、例えば、遺贈によって遺留分が侵害された場合でも、それによって直ちにその遺贈が無効になるわけではありません。この場合遺留分を侵害されたものは、遺留分侵害請求権という権利を行使して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求する事ができます。また、遺留分は相続開始前であっても、家庭裁判所の許可を受ければ放棄することができます。

相続財産の帰属

相続財産は、相続人が数人いるときは全員の共有となります。例えば、相続財産である建物を持分に基づいて占有している相続人の1人に対して、他の相続人は、当然に明け渡しを請求する事ができません。また、各共同相続人は、その相続分に応じて、被相続人の権利・義務を引き継ぎます。従って、相続財産中の可分債権・債務は法律上当然に分割され、各共同相続人はその相続分に応じて債権や債務を承継します。そして、共同相続人は、遺言に定めがある場合を除いて、いつでも協議によって遺産の全部または一部の分割ができます。この協議には全員の合意が必要ですが、協議が調わない場合などは、原則として相続開始地の家庭裁判所に対して、その全部または一部の分割を請求できます。なお、遺産の分割は相続開始の時に遡ってその効力が生じますが、第三者の権利を害することはできません。

配偶者の居住権の保護

被相続人が死亡したことにより、残された配偶者が安定した生活を送れるように、配偶者居住権等の権利が創設されました。

1、配偶者短期居住権

配偶者は、被相続人の財産であった居住建物に、相続開始の時に無償で居住していた場合、原則として、最低6ヶ月以上の一定期間、引き続き無償で、その建物を使用する事ができます。

2、配偶者居住権

配偶者は、被相続人の財産であった居住建物に、相続開始の時に居住していた場合、被相続人の遺言がある等の一定の場合に該当するときは、終身、または一定期間、その居住建物の全部を、無償で使用・収益をする事ができます。ただし、被相続人が、相続開始の時にその居住建物を、配偶者以外の者と共有していたときは、例外となります。そして、配偶者が、配偶者居住権を取得したときは、その居住権は財産的に評価され、その評価された金額を相続したと取り扱われることになります。

不法行為

・一般の不法行為

故意または過失によって、他人の権利や法律上保護される利益を違法に侵害し、損害を与えた物は、被害者救済の観点から、その損害賠償義務を負わなければなりません。他人の身体、自由もしくは名誉を侵害した場合、または他人の財産権を侵害した場合のどちらであっても、加害者は、財産外の損害に対しても、その賠償をしなければなりません。これがいわゆる、慰謝料請求権です。そして、判例は、不法行為によって被害者が即死した場合でも、被害者自身に慰謝料請求権が発生するとしています。この慰謝料請求権も、普通の金銭債権であり、相続の対象になります。また、法人の名誉権が侵害された場合に、金銭的な評価が可能な損害が発生したときは、法人も加害者に対して慰謝料を請求する事ができます。なお、不法行為に基づく損害賠償債務は、被害者保護のために、その損害の発生と同時に履行遅滞に陥るとされています。

・特殊の不法行為

1、使用者責任

従業員の不始末について使用者に責任が生じすることを使用者責任といいます。ただし、使用者の面積が認められていて、例えば、従業員に対して使用者が相当な注意を払っていた時や、相当な注意を払っていたとしても損害が生じたと考えられるときはその責任を負いません。さらに、使用者が損害賠償金を支払った場合、使用者は信義則上相当な限度で従業員に求償する事ができます。

2、共同不法行為

共同者は連帯で責任を負います。この連帯も、使用請求責任と同様に不真正連帯債務です。

3、工作物責任

建物などの土地の工作物の設置・保存の瑕疵によって、誰かが損害を被ったときは、まず、第一次的にその工作物である建物の占有者が、そして占有者が相当な注意を払っていた時には、占有者は責任を負わず、第二次的に、所有者が責任を負います。この所有者の責任は、自分に過失がなくとも負わなければなりません。なお、例えば手抜き工事をした結果損害が発生したなど損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、賠償金を支払った占有者などは、その者に対して求償権を行使する事ができます。

4、注文者の不法行為責任

請負契約を結んだ場合で、その請負人が誰かに損害を与えたとき、注文者に過失がある時を除いて、原則として注文者はその責任を負いません。過失がある場合は不法行為責任を負います。

不法行為による損害賠償請求権の消滅時効

1、損害賠償請求権の長期・短期の消滅時効

不法行為による損害賠償請求権は、被害者または被害者の親などの法定代理人が、損害及び加害者を知ったときから3年間行使しなければ時効によって消滅します。また、不法行為の時から20年間行使しない時も、時効によって消滅します。

2、人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効

人の生命・身体の侵害する不法行為による損害賠償請求権は、被害者またはその法定代理人が、損害及び加害者を知った時から5年間行使しない時、あるいは不法行為の時から20年間行使しないときは、時効によって消滅します。

不当利得

法律上原因がないのにもかかわらず、他人の財産または労務により利益を受け、それによって他人に損害を及ぼした場合は、受けた利益を返還しなければなりません。これを、不当利得返還義務といいます。

事務管理

ある人が、好意で隣家の垣根を直してあげる場合のように、法律上の義務なしに、他人のために事務の管理を始めたものは、その事務の性質に従って、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理をしなければなりません。この場合、管理者が本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求する事ができます。ただし、本人の意思に反して事務管理を行ったときは、現に利益を受けている限度内でしか、その償還請求は認められません。

債権と物権

財産権には債権と物権の2種類があります。債権とは、人に対して一定の行為を請求できる権利のことです。物権とは、物に対する直接的な権利のことです。例えば、車を買ったとすると、その車の所有権を取得することになります。

物権的請求権

例えば、Aさんの土地をBが不法に占拠して、Aさんの所有権の円満な支配が妨げられているとします。この場合、所有者Aさんは、その不法に占拠しているBに対して、「土地を返せ」と言う事ができます。このように言う事ができる権利を、物権的返還請求権といいます。

所有権と共有

所有権とは物に対する全面的支配権であり、所有者は法令の制限内で、自己の所有物を自由に使用・収益・処分する事ができます。

・所有権と相隣関係

例えば、土地の所有者が最大限に自分の土地を利用しようとするときは、隣接地相互の利用の調整が必要になります。そこで民法では隣接地同士の関係について様々な規定を置いています。

1、行動に至るための他の土地の通行権

他の土地に囲まれて公道に通じない土地を袋地といいますが、その袋地の所有者Aさんには、公道に至るためにその土地を囲んでいる他の土地を通行する権利が認められています。ただし、通行の場所及び方法は、必要かつ隣地への損害が最も少なくなるようにしなければいけません。もし、隣地に損害が生じたときは、償金を支払う必要があります。また、袋地が共有地の分割や一時譲渡によって生じたときは、Aさんが通行できるのは他の分割された土地や残余地だけですが、例えそれらの土地に損害を生じさせても、償金を支払う必要はありません。

2、隣地使用請求権

隣地との境界やその付近で、塀などを築造したり修繕したりする場合は、必要な範囲内で隣地使用を請求する事ができます。ただし、住家には、隣人の承諾がない限り、立ち入ることはできません。また、この場合も損害を与えた場合は償金を支払わなければいけません。

3、その他の相隣関係

隣接地の所有者は、お互いに、隣地から水が自然に流れてくるのを妨げてはなりません。

境界には境界標や囲障を設置する事ができ、費用は双方が半分ずつ負担します。ただし、境界標設置のための測量費用は、面積に応じて振り分けます。

建物は境界線から50cm以上隔てて建てなければいけません。さらに、境界線から1m未満の距離のところに窓や縁側を設けるときは、目隠しを設ける必要があります。

境界線を超える竹木の枝は、切除を求める事ができるにとどまりますが、根は自分で切り取る事ができます。

・共有

何人かで一つのものを所有することを共有と言います。それぞれが支払った額などによって持分が決まります。持分が明らかでなければ、均等であると推定されます。

1、持分

持分に応じてそれぞれ、その共有物全部を使用する事ができます。それぞれ自分の持分を処分することは自由です。単独で売却する事ができます。そして、共有者の1人が持分を放棄したり、死亡して相続人がいないときは、他の共有者にこの持分が移転します。ただし、共有者の1人が死亡して相続人がいない時でも、特別縁故者がいれば、特別縁故者に対する財産分与の規定が優先適用されます。

2、共有物の管理・処分

修繕や不法占拠者への明渡請求などの全員の利益になるものは単独で行う事ができます。ただし、不法占拠者への損害賠償請求については持分の割合に限られます。一方で、全体を売ってしまう、売買契約を解除する、抵当権を設定する、増・改築をするなどは、変更行為と言います。この変更行為は全員で行わなければいけません。利用・改良行為については、持分の過半数の賛成があれば行う事ができます。例えば、賃貸借契約を結んだり、その契約を解除したりする事です。

3、共有物に関する費用・債権

共有の場合、持分に応じて誰でも、その共有物全部を使用する事ができます。従った、管理費も各自の持ち分に応じて負担します。もし、1年以内に、共有者がこの義務を果たさないときは、共有関係から排除するため、他の共有者は相当な償金を払って、その共有者の持分を取得する事ができます。また、共有者の1人が、例えば管理費用の立替債権など、共有物に関して他の共有者に対する債権を持っているときは、その共有者の持分を譲り受けた承継人に対しても請求する事ができます。

4、共有物の分割請求

各共有者はいつでも共有物の分割を請求できます。もし、分割の協議がまとまらないときには、裁判所に分割請求もできます。そして、分割の方法としては、現物分割のほか、代金分割や全面的な価格賠償によることも認められています。また、共有者の間で、5年以内の期間を定めて、不分割特約を結ぶこともできます。なお、この特約は更新できますが、この期間も5年以内です。

その他の物権

・地上権

・永小作権

・地役権

・占有権

マンションの基本事項

一棟の建物の中に複数の所有者が存在する建物のことを区分所有建物といいます。その中の、一部屋をAさんが所有している場合、この所有権のことを区分所有権と言います。そして、Aさんを区分所有者と言います。さらに、マンションが立っている土地のことを敷地と言います。

区分所有建物は、専有部分と共用部分という部分から成り立っています。例えば、304号室などを専有部分、廊下・階段・エレベーターなどを共用部分と言います。そして、専有部分のために必要な土地の利用権のことを敷地利用権といいます。

専有部分

専有部分とは、区分所有権の対象となる部分のことです。対象となる要件には、構造上の独立性と、利用上の独立性が必要です。

共用部分

共用部分は、法定共用部分と規約共用部分の2種類に分けられます。階段やエレベーターなど当然全員で使うようなものが法定共用部分、本来専有部分となり得る場所を規約で共用部分とした管理人室や集会室などを規約共用部分といいます。

敷地

・敷地利用権

敷地利用権には、所有権と借地権があります。そして、敷地利用権は、規約に別段の定めがある時を除いて、専有部分と分離して処分することはできません。共用部分と同じように、原則として一体性があるのです。

・敷地権

登記した敷地利用権で、専有部分と分離処分ができないものを不動産登記法では、敷地権といいます。

区分建物の登記

・区分建物の登記簿

区分建物の登記でも、一戸建の建物と同様に一不動産一登記記録の原則が取られ、まず一棟全体の表題部、次に各専有部分の表題部及び権利部によって構成されています。

・区分建物の登記申請

1、表示に関する登記

まず最初にマンションの分譲業者などの原始取得者が、一棟全体の建物の表題登記とともに、各専有部分の表題登記を一括して申請します。

2、権利に関する表記

マンションの場合は、表題部所有者であるA不動産会社から所有権を取得したBさんも、直接自己名義で所有権保存登記を申請する事ができます。

・共用部分の登記

法定共用部分は登記をする必要がなく、また、登記をする事が認められていません。規約共用部分は、登記をしないと第三者に対抗する事ができません。区分建物の表題部に登記を行います。

集会の決議(区分所有法)

・区分所有者の意思決定の方法

1、管理組合と管理者

区分所有者が2人以上になれば、管理組合は当然に成立し、区分所有者全員で区性されます。そして、いろいろなことを集会の場で決め、ここで決められたルールが規約になります。マンションの管理を実際に実行するのが管理者です。管理者は基本的には、集会の決議で選任・解任されます。また区分所有者以外の物からも選任する事ができます。この管理者の役割は、区分所有者の代理人となり、その職務に関して、区分所有者のために原告または被告となることもできます。

管理組合は法人化することもできます。そのためには、集会の決議で、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の賛成が必要です。さらに、法人登記も必要です。なお、法人化にあたり、区分所有者の人数は関係ありません。

2、集会

議決数は、原則として区分所有者及び議決権の各過半数とされています。重大な事柄の場合は4分の3以上や5分の4以上の賛成が必要です。議決権は、書面または代理人によって行使する事が可能です。

管理者は少なくとも毎年1回、集会を招集しなければなりません。区分所有者の5分の1以上で議決権5分の1以上を有するものは、集会の招集を管理者に請求する事ができます。集会の通知は原則として、会日よりも少なくとも1週間前に会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発せられなければなりません。この期間は規約で伸縮することができます。区分所有者全員の同意があるときは招集の手続きを経ずに開く事ができます。

集会ではあらかじめ通知した事項についてのみ決議をする事が出るのが原則ですが、特別決議事項を除いて、規約で別段の定めをすればあらかじめ通知した事項以外についても決議する事ができます。

・規約

規約の設定・変更・廃止は、重大な事柄ですから、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の賛成が必要です。そして規約は書面または電磁的記録によって作成しなければいけません。

分譲業者など、最初に建物の専有部分の全部を所有するものは、規約共用部分・規約敷地等一定の事柄については規約で決める事ができると言う特例があります。これを「原始規約」といい公正証書による必要があります。

規約や集会の議決は、区分所有者は当然のこと一般承継人、特定承継人、そして建物などの使用方法については占有者にもその効力が及びます。

規約は原則として、管理者が保管しますが、管理者がいないときは、建物を使用している区分所有者またはその代理人で、規約または集会の決議で定めるものが保管しなければなりません。そして、規約を保管する者は、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧を拒んではなりません。規約の保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示しなければなりません。

・義務違反者に対する措置

1、措置の内容

義務違反した区分所有者に対しては、行為の停止等請求、使用禁止請求、競売請求が可能です。次に占有者に対しては、行為の停止等請求、さらに契約の解除及び引き渡し請求ができます。

2、方法

停止等請求は「違反をやめてください」と言えば良いので、裁判外でもできますが、裁判所に訴える場合は、区分所有者及び議決権の各過半数の決議が必要です。他方、「使用禁止」などのその他の措置は影響が大きいですから、必ず訴えによらなければなりません。その際は各4分の3以上の多数による議決が必要です。

・共用部分の管理等

保存行為は単独で行う事ができます。例えば、破損した窓ガラスの修繕などです。

管理行為には、区分所有者及び議決権の各過半数が必要です。例えば、損害保険契約をすることなどです。

変更行為は、変更の著しいものとそうでないものに分けられます。その形状または効用の著しい変更を伴わない変更を「軽微変更」、それ以外のものを「重大変更」といいます。そして軽微変更を行うには各過半数の賛成が、重大変更には各4分の3以上の賛成が必要です。なお、この重大変更の場合の賛成数は、区分所有者の定数、つまり頭数については、規約で過半数まで減らす事ができます。しかし議決権は減らせません。

・区分所有建物の復旧・建替

1、復旧

復旧は小規模滅失と大規模滅失の場合の2つに分かれます。建物価格の2分の1以下の部分の滅失が小規模滅失です。そして、建物価格の2分の1を超える部分の滅失が大規模滅失です。

小規模滅失の復旧の場合、共用部分については、復旧や建て替えの決議等があるまでは各自で直す事ができます。復旧決議は、小規模滅失の場合区分所有者及び議決権の各過半数の賛成が必要です。

大規模滅失の復旧の場合は、建物価格の2分の1を超える、つまり、多額のお金がかかりますから、各4分の3以上の議決が必要です。なお、この賛成数は規約で増減できません。

2、建替

建て替えはお金がたくさんかかる重大な行為なので各5分の4以上の賛成が必要です。この数字は規約で増減することはできません。その他に、取り壊す建物の敷地もしくはその一部の土地、またはその建物の敷地の全部もしくは一部を含む土地に新たに建物を建築する事が、建て替えの要件です。また、建て替え決議を会議の目的とする集会を招集する場合は、集会の招集の通知は、原則として、集会の会日より少なくとも2ヶ月前に発しなければなりません。