takanori_takkenの日記

2020年宅建士合格を目指して勉強していくブログです。宅建士の勉強をする中で分かったことなどを主に書いていきます。

その他のいろいろな法律関係

委任契約と準委任契約

AさんがBさんに、土地の売買契約などの法律行為を依頼する契約のことを、委任契約といいます。この場合、依頼をしたAさんを委任者、頼まれたBさんを受任者といいます。また、土地の管理などの事実上の行為を依頼することを、準委任契約といいます。

受任者の義務

善管注意義務

受任者は、善良な管理者としての注意を持って、きちんと委任事務を処理しなければなりません。この義務のことを善管注意義務といいます。そして、このことは報酬を請求できる場合もできない場合も同様です。

・自己執行義務

受任者は委任事務を自ら行わなければならないのが原則です。従って、委任者の承諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができません。

・報告義務

受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理状況を報告し、また委任事務終了後は遅滞なくその経過や結果を報告しなければなりません。

・受取物引渡義務

委任事務を行うにあたって受け取った金銭、物等を委任者に引き渡さなければいけません。また、委任者のために受任者の名前で取得した権利も移転しなければなりません。

・金銭消費責任

受任者は、委任者に引き渡すべき金銭を自分のために使ったときは、その使った時からの利息をつけて、さらに損害があれば損害賠償もした上で、引き渡さなければなりません。

受任者の権利

・特約があれば報酬を請求できる権利

1、報酬請求権

原則として、委任契約は無償なので、受任者は委任者に報酬を請求できません。ただし、「報酬あり」との特約があれば、受任者は報酬を請求することができます。

2、報酬の支払い時期

報酬が支払われる場合の委任には、事務処理を行なったことに対して報酬が支払われる履行割合型と、事務処理により得られた成果に対して報酬が支払われる成果完成型の2種類があります。前者の場合は、当事者間に特に定めがなければ、報酬の支払いは後払いです。後者の場合は、その成果が引き渡しを要するときは、受任者はその成果の引き渡しと同時に、委任者に対して報酬の支払いを請求することができます。

・費用償還請求券、費用前払請求権

必要費を受任者が立替払いしたような 場合は、受任者は、委任者のために仕事をしているのですから、それに要した費用に、これを支出した日からの利息をつけて償還を請求する事ができます。また、受任者が委任事務の支払いのための費用を要する場合、受任者からの請求があれば、委任者は受任者に対して前払いをしなければなりません。

・損害賠償請求権

受任者が委任事務を処理するにあたって、自分に過失がないのに損害を受けたときは、委任者に対してその損害の賠償を請求する事ができます。この場合の委任者の義務は、委任者に何ら落ち度がない場合でも負わなければならない、無過失責任です。

委任契約の終了事由

・告知による契約解除

委任契約は、双方の信頼関係の上に成り立っています。そのため、信頼関係が破綻した場合、各当事者がいつでも、告知によって契約を解除する事ができます。ただし、相手方にとって不利な時期に解除をした場合、または委任者が受任者の利益をも目的とする委任契約を解除した場合は、やむを得ない事情がある時を除いて、損害賠償をしなければなりません。なお、委任契約の解除の場合、その効果は過去に遡及しない、つまり将来に向かってのみその効果がなくなるに過ぎません。

・委任者、受任者に一定の事由が生じた場合

任意代理権の消滅事由と同じで、委任者と受任者の死亡、破産手続き開始の決定の場合と受任者の後見開始の審判が起きた場合は委任契約は終了します。

請負契約とは

家を造って欲しいAさんと「いいよ」というBさんとの合意で請負契約が成立します。注文したAさんを注文者、頼まれた工務店のBさんを請負人といいます。請負契約が結ばれると、注文者には報酬支払義務が発生し、請負人には仕事完成義務が発生します。つまり、請負契約の目的は仕事を完成させる事であり、これが本質です。そして、請負人は先に仕事を完成させ、その後に初めて報酬を請求する事ができます。その結果、目的物の引き渡しと報酬の支払いは同時履行の関係になります。なお、仕事が完成しなければBさんは全く報酬を受け取る事ができないのかというと、そうではありません。Bさんには、割合的報酬請求権が認められます。つまり、注文者の帰省事由なく仕事を完成する事ができなくなった場合、または、請負契約が仕事の完成前に解除された場合で、既に請負人が行った仕事の結果のうち、可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分については仕事が完成したものとみなされ、請負人はその注文者が受ける利益の割合に応じて、報酬を請求する事ができます。ところが、注文者にとって建物が不要になった場合は、請負人が仕事を完成させる前であれば、契約を解除する事ができます。ただし、請負人に損害が生じた場合は、注文者は損害賠償をする必要があります。これが、注文者の契約解除権です。

契約不適合の場合の請負人の担保責任

これは請負人が契約内容に適合しないものを作った場合に、請負人が負わなければいけない責任のことです。

・目的物の種類、品質に関する担保責任

請負契約には、有償契約であることから、売買においての目的物の契約不適合の規定が準用されています。つまり、仕事の目的物が種類・品質に関して契約の内容に適合しない場合、注文者は請負人に対して、次のような請求をする事ができます。

1、追完請求権

注文者は、原則として請負人に対して、目的物の修補など履行の追完を請求する事ができます。なお、それほど重要ではないのに費用が過分すぎたり、取引上の社会通念に照らして修補が不能であるときは、追完請求は認められません。

2、報酬減額請求権

注文者が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、原則として、その不適合の程度に応じて報酬の減額を請求する事ができます。

3、損害賠償請求権・契約解除権

注文者は、原則として契約内容の不適合を理由として、請負人に対して損害賠償を請求する事ができます。従って、注文者は、追完請求に代えて、あるいは追完請求とともに損害賠償を請求する事ができます。また、催告をしたのにもかかわらず、補修がされないときは、注文者は原則として、請負契約を解除する事ができます。仮に、契約内容に適合しないために契約の目的を達成できないときは、催告なしで解除する事が可能です。

・担保責任の制限

仕事の目的物が契約内容に適合しない物であっても、それが注文者が提供した材料や指示によって生じた場合は、請負人は、その材料や指示が不適当であることを知っていながら注文者に告げなかった時を除いて、担保責任をおいません。

・担保責任の期間の制限

注文者が契約不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないときは、その不適合を理由として様々な請求や契約の解除をする事ができません。ただし、仕事の目的物を注文者に引き渡した時などに、請負人がその不適合を知っていた、または、重大な過失によって知らなかったときは、この期間の制限を受けません。

・特約について

「仕事の目的物が契約の内容に適合しない場合における担保責任を負わない」という特約は、当事者間において合意で決められた事ですから有効です。しかし、請負人が知っていたにもかかわらず告げなかった事実等については、たとえ特約があっても、請負人は担保責任を負わなければいけません。

贈与契約

・贈与契約とは

無償の契約のことです。諾成契約なので成立に書面は不要です。

・贈与契約の性質

無償で与える契約である事が大きな特徴です。そのため、書面に寄らない口約束でした贈与などは、履行の終わった部分を除いて、各当事者が解除する事ができます。また、原則として、目的物が特定された時の状態で引き渡せば、贈与者は担保責任を負いません。ただし、「もらう人も一定の負担を負う」負担付贈与の場合は、その負担の限度で、売主と同様の担保責任を負います。

時効制度

・時効とは

時効とは、一定の事実状態の継続によって、権利が取得されたり、逆に権利が失われたりすることです。そして時効には、取得時効と消滅時効の2種類があります。

1、取得時効

取得時効とは、占有、つまり「持っている」あるいは「支配している」という事実状態が続き、その結果として権利を取得するという仕組みです。

2、消滅時効

消滅時効とは、権利を行使しない状態が続くと、その効果として権利が消滅するという仕組みです。

・時効制度の認められる理由

他人のものを持っている、または権利を行使しないなどの事実状態が継続しているとその状態通りの権利関係があると考えられます。そこで、社会の安定という見地から、その事実状態を法律関係にまで高めようとするのが、時効精度が認められている1つ目の理由です。さらに、AさんはBさんに対して1000万円請求できるのに、いつでもできるからと請求しない。そんな権利の上に眠る人の権利は守る必要がないというのが2つ目の理由です。

取得時効

・取得時効にかかる権利

所有権だけでなく、地上権や地役権、賃借権なども取得する事ができます。

・時効期間

取得事項が認められるためには、一定の期間継続した占有が必要です。その一定の期間とは、占有開始時に、善意かつ無過失ならば、占有の開始から10年、悪意または過失があるならば20年です。この場合「占有開始時」というのがポイントで、例えば、占有開始時は善意無過失だけれども、途中で他人のものだと気付いて悪意になった場合でも、占有を始めたときは善意無過失なので時効期間は10年となります。

・所有権の取得時効

所有権を時効取得するためには、所有の意思を持って、平穏かつ公然と(普通の状態で)占有する子が必要です。占有を継続すれば、取得時効が成立するので、一筆の土地の一部のみの時効取得も認められます。所有の意思の有無は、主観的ではなく、占有取得の原因事実により、外形的、客観的に判断されます。賃貸借契約を結んで借りている人が「所有権」を時効取得することはあり得ません。

・占有の承継

自分より前の占有者から占有を引き継いだものは、自分の占有期間だけではなく、自分より前の占有者の占有期間も、合わせて主張する事ができます。そして、そのときはその瑕疵も引き継ぎます。この場合の「瑕疵」とは善意無過失や悪意等のことです。

消滅時効

・時効期間とその起算点

債権が消滅するのは、債権者が権利を行使する事ができることを知った時から5年か権利を行使する事ができる時から10年(人の生命または身体の障害による損害賠償請求権は20年)。債権または所有権以外の財産権(地上権・永小作権・抵当権など)の場合は、権利を行使する事ができる時から20年です。なお、所有権は消滅時効にかかりません。かかるのは、取得時効のみです。また、抵当権は債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しません。消滅時効の起算点は期限の定めのある債権は期限到来時から期間がスタートします。期限の定めのない債権は権利の成立・発生時からスタートします。

・判決で確定した権利の消滅時効

確定判決または確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利の消滅時効期間は、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、確定の時に弁済期の到来していない債権を除いて、10年になります。

時効の完成猶予と更新

時効の完成猶予とは、その間時効が完成しないことをいいます。例えば、時効の進行中に訴えが提訴され、権利行使の意思が明らかになった場合等に認められます。時効の完成猶予の事由としては、裁判上の請求・仮差押・催告・協議を行う旨の合意などがあります。例えば裁判上の請求の場合、その手続き事由が終了するまでの間等は、時効は完成しません。また催告の場合、催告の時から6ヶ月を経過するまでの間は、時効は完成しないのです。他方、時効の更新とは、時効が新たにその進行を始めることをいいます。例えば、確定判決によって権利が確定した場合等に認められます。更新が生じるとそれまで進行していた時効期間はリセットされます。更新事由としては、裁判上の請求や承認などがあります。例えば、商人の場合、時効は承認の時から新たにその進行を始めます。

時効完成の効力

時効の利益を受けたいのなら、「私は時効の効果を受けます」と告げる、つまり時効の援用が必要です。そして援用ができるものは「当事者」であり、消滅時効の場合なら、債務者はもちろん、保証人、その債権の担保としての抵当権が設定されている時の物情保証人や第三取得者など、権利の消滅について正当な利益を有するものです。他方、後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができないとされています。事項を援用するとその効力は起算日に遡ります。時効の利益を「受けません」と言う事を、時効の利益の放棄といいます。しかし、時効制度が無視されないように、時効の完成前には、時効の利益の放棄をする事ができないとされています。従って、時効完成前に結ばれた、時効の利益を放棄する旨の特約も無効です。なお、消滅時効の完成後に債務者が債務の承認をした場合は、債務者は、時効完成の事実を知らなかった時でも、信義則上、消滅時効を援用することは許されません。この場合は通常、債権者は「もはや債務者は時効の援用をしないだろう」と考えるからです。